頭頸部がん

① 頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り頭頸部にできる悪性腫瘍のことです。
頭頸部とは、顔面から鎖骨を下端とする首までの部分です。この範囲にある耳、鼻、口、上下のあご、のどにできるがんを「頭頸部がん」と言います。ただし、脳と脊髄および目は頭頸部がんに含まれません。
頭頸部がんには、発生する原発部位によって多くの種類があります。口とのどにできるがんには、口腔がん(舌がん)、上顎洞がん(鼻腔、副鼻腔)、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん*があります。耳にできるがんは唾液腺がんです。
頭頸部がんのほとんどが、扁平上皮と呼ばれる組織から発生する扁平上皮癌です。
地域がん登録全国推計によるがん罹患データによると、2013年の頭頸部がんの発生頻度は、人口10万人当たり、口腔・咽頭がんが男性21.3人および女性8.8人、喉頭がんがそれぞれ7.3人および0.6人、甲状腺がんがそれぞれ6.8人および17.4人となっており、甲状腺を除き、男性の方が多くなっています。
頭頸部がんは発症頻度は少ないのですが、呼吸や食生活、発声、聴覚など、日常生活に必要な機能に関わる臓器のがんであるため、治療によっては日常生活の質に大きな影響が及ぶという特徴があります。
頭頸部がんの発生には、喫煙と飲酒が関係があることがわかっています。
また他のがんと合併することが多く、14.5%が複数のがんを合併しているという報告があります。特に食道がんが最も多く、頭頸部、胃、肺、肝臓の順番に、重複合併していることが多いことがわかっています。頭頸部がんを患った場合には、他の部位の定期的な検査も重要です。
*甲状腺癌については、甲状腺がんの項目をご覧ください。

② 頭頸部がんの初期症状

頭頸部がんの初期症状は、それぞれのがんが出来た部位によって異なります。

・のどにできるがん(咽頭がん、喉頭がん)
咽頭がんの初期には、ほとんどの場合症状がありません。のどの違和感を感じたり、軽いのどの痛みがある程度の場合もあります。
喉頭がんの初期には、がんのできた場所によって違いがあります。声門がんのすべての方に声枯れがあります。声門上がんでは、のどの異物感や、飲み込むときに痛みを感じることがあります。声門がんでは、リンパ節への転移は少ないのですが、声門上がんでは早くからリンパ節が腫れができます。 声門下がんは進行するまで症状があまりありません。

・口腔がん
初期には、出血や痛みはなく、硬いしこりを感じることが多いようです。口内炎が治りにくい場合も注意が必要です。また、舌がんでは、舌がしみたり、痛みを感じて気が付く場合があります。

・上顎がん
上顎がんが初期で、上顎洞内に留まっている場合は、自覚症状はあまりありません。鼻づまり、鼻水に膿や血が混ざることがあります。

・唾液腺がん(耳下腺がん、顎下腺がん、舌下腺がん)
耳の下や顎の下が、腫れてきますが痛みはありません。舌下腺がんでは、口腔底が腫れてくることがあります。いずれも、早期から首のリンパ節が硬く腫れることがあります。

③ 頭頸部がんの主な症状

頭頸部がんが進行すると、発生部位の周囲の組織やリンパ節へ転移し、さまざまな症状があらわれます。

がんの部位 主な症状、進行後の症状
のど  

上咽頭がん

鼻の症状(鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混ざる)

耳の症状(耳の閉塞感、聞こえにくい)

飲み込みにくい、息苦しい

眼球の動きの障害目が二重に見える、首のリンパ節の腫れ

中咽頭がん 飲み込みにくい、のどがしみる感じ、のどの痛みや出血

言葉が分かりにくい、口が開けにくい、首のリンパ節の腫れ

下咽頭がん 飲み込む時に異物感がある、のどがしみる感じ

耳周囲の痛み、声がかれる、首のリンパ節の腫れやしこり

喉頭がん 痰に血が混ざる、呼吸が苦しくなる、声のかすれ
口腔内 舌癌、口腔底がん

歯肉がん、頬粘膜がん、硬口蓋がんなど

腫瘍が大きくなり、潰瘍を形成していたみや出血が現れます。

言葉がしゃべりにくくなる。

口が開けにくい、首のリンパ節の腫れなど

上顎がん がんが起きくなって拡がった場所によって異なる症状が現れます。(鼻の症状、目が飛び出したり、二重に見えたりする、歯茎の腫れ、歯痛、顔が腫れる、顔が痛い、頬が腫れたり痛みがある)
唾液腺癌

(耳下腺がん、顎下腺がん、舌下腺がん)

顔面神経麻痺、口腔底粘膜が汚くなるなど

④ 頭頸部がんの組織的な分類

頭頸部がんのほとんどが、扁平上皮細胞から発生する扁平上皮癌です。

⑤ 検査方法の種類(検査期間・予算 )

今回は頭頸部がんの主な検査方法を紹介します。期間なども合わせてみてください。

・視診

症状のある部位のしこりの大きさや硬さなどを、視診あるいは触って診察をおこないます。同時に、首や頭部のリンパ節や、耳の下、唾液腺周辺などを触診します。
また、鼻の穴から細いファイバースコープを挿入し、鼻腔やのどの奥の部分を観察します。
<検査期間>外来で行われます。観察後、医師から説明があります。
<検査費用>観察する部位、観察方法(喉頭直達鏡検査、鼻咽腔直達鏡検査、喉頭ファイバースコピー等)などによって診療報酬点数は異なります。各施設でお尋ねください。

・組織生検

ファイバースコープでがんが疑われる部位がある場合には、組織を注射針や吸引によって採取し、生検を行います。悪性度や組織型の診断を行います。
<検査期間>外来の診察時に行われます。生検があれば、後日、検査結果の説明があります。
<検査費用>組織試験採取等の診療報酬点数は、耳、鼻、副鼻腔、口腔などからは400点、咽頭・喉頭は650点と異なります。加えて診断にかかる費用などがあります。

・超音波(エコー)検査

超音波の出る機械を首にあてて、その反射を画像として見ることができます。頸部リンパ節への転移の有無を調べるために最も有用です。頸部リンパ節への拡がり方だけでなく、周辺部位への拡がり方も観察することができます。
<検査期間> 外来で行われ、画像を見ながら結果の説明があります。
<検査費用> 頭頸部に対するエコー検査の診療報酬点数は350点とされています。3割負担では1050円となります。

・画像検査(CT検査、MRI検査)

頭頸部~胸部まで断層撮影を行い、頭頸部がんの拡がり方を調べます。CT検査は、主にリンパ節への転移の有無を診断する上で、非常に有用です。また、MRI検査は、頭頸部がんにおいてどのぐらい深く拡がっているかの診断に有用です。
<検査期間> 外来で行います。検査の結果は、後日医師から説明があります。
<検査費用> 診療報酬は、装置や施設により異なりますが、CT撮影が1,000点前後、MRI撮影が1,600点前後ですので、3割負担で3000~5000円となります。

⑥頭頸部がんの病期(ステージ)分類

頸部がんの病期(ステージ)分類には、TNM分類が用いられます。
頭頸部がんは、それぞれ発生した原発の部位によって、さまざまな癌があります。いずれもほとんどは扁平上皮癌ですが、臓器の構造や、周辺臓器との関係は一定ではありません。そのため、がんの深達度をあらわすT分類は、各がんで異なります。N分類は頸部リンパ節への転移の有無(N0、N1)と転移リンパ節の個数と大きさ(N1~N3)、M分類は遠隔転移の有無(M0、M1)を現し、T分類、N分類、M分類の組み合わせで、Ⅰ期からⅣ期の4段階でステージが分類されます。

通常Ⅰ~Ⅱ期を早期がん、Ⅲ~Ⅳ期を進行がんと言います。代表的なステージ分類を紹介します。
喉頭がんの病期

リンパ節への転移がない がんと同じ側のリンパ節に3cm以下の転移が1個 がんと同じ側のリンパ節に3cm~6cm以下の転移が1個 がんと同じ側のリンパ節に6cm以下の転移が2個以上 がんと同じ側のリンパ節に6cm以下の転移がある 6cmを超えるリンパ節転移がある 遠くの臓器に転移がある
Tis 0
T1 IVA IVA IVA IVB IVC
T2 IVA IVA IVA IVB IVC
T3 IVA IVA IVA IVB IVC
T4a IVA IVA IVA IVA IVA IVB IVC
T4b IVB IVB IVB IVB IVB IVB IVC

参考:国立がん研究センター がん情報サービス 喉頭がんの病期
http://ganjoho.jp/public/cancer/larynx/diagnosis.html

⑦ 頭頸部がんの生存率

頭頸部がんの生存率は、部位、治療法、施設によって異なりますが、ステージⅠ~Ⅱの早期がんでは、70%、ステージⅢ~Ⅳの進行がんで50%以下と言われています。また局所再発率は60~70%、遠隔転移率は20~30%という報告があります。

がん研有明病院における5年生存率

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期
上咽頭がん 90% 60~80% 40~50%
中咽頭がん 70% 66% 33%
下咽頭がん 約70% 40~50% 30%弱

参考:がん研有明病院 咽頭がん 治療率
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/headneck/pharynx.html

⑧ 早期発見メリット

頭頸部がんは発症率は小さいのですが、人間が生きていく上で必要な食事、呼吸、聴覚、嗅覚などの機能に関係する臓器に発症するがんです。そのため、頭頸部がんの治療は、がんの治癒と臓器の機能を出来るだけ温存することを目標とします。
早期がんであれば放射線療法が非常に有効ながんです。また、がんが小さい場合は、レーザー療法など、身体に負担の少ない治療方法を選択することができます。しかし、進行する全摘出術や部分切除が行われます。
頭頸部がんの発生部位は、多くは顔や首にあり、治療による外見的な変化は。精神的にもダメージを受ける可能性もあり、また日常生活の質が非常に低下します。
こうしたことから、頭頸部がんも他のがんと同様、早期発見が重要です。

⑨ がんリスク評価(まも~るくん)

まもーるくんでは、尿検査や血液検査で、早期からがんの可能性を発見できる検査が用意されています。また、個別で医療相談などもできる体制が整っているため、異常に気が付いた時に相談することもできます。
頭頸部がんは、進行すると機能が失われたり、治療により外見に障害が残るがんです。何よりも早期発見が重要です。

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