卵巣がん

① 卵巣がん

卵巣は、子宮の両側にある親指大の臓器で、腹膜に接しています。卵巣は表層上皮で覆われており、内部の中心には卵細胞(胚細胞)と多数の卵胞があります。その周囲をホルモンを作る顆粒膜細胞と莢膜細胞が取り囲み、組織の間には間質細胞もあります。
卵巣の働きは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンの分泌と、卵細胞を成熟させて排卵することであり、排卵は閉経するまで続きます。
卵巣がんは、卵巣に発生した悪性腫瘍です。卵巣を構成する細胞全てから腫瘍が発生しますが、良性腫瘍と悪性腫瘍と境界悪性腫瘍があり、すべてが卵巣がんではありません。
2013年に新たに卵巣がんと診断された方は、9804人で、40歳代では乳がん、子宮がんに続いて卵巣がんは3番目に多く、50歳代後半から60歳代前半がピークです。
卵巣がんのうち、表層上皮細胞と間質細胞から発生するがんは、40~60歳代の中更年期に多く90%を占めます。一方、胚細胞から発生する卵巣胚細胞腫瘍は、卵巣がんの4%に過ぎないものの、10-20歳代に多く発症し卵巣を温存するなど治療方法も異なります。
卵巣がんは、初期にはほとんど自覚症状がなく、自覚症状が現れる頃にはがんが進行している事が多く、40歳代では卵巣がんによる死亡が多くを占めています。
少しでも早期に発見して治療を開始するためには、卵巣がんの症状や発症のリスクファクターに気を付けることが大切です。

② 卵巣がんの初期症状

卵巣がんは、初期で腫瘍が小さい場合には、ほとんど症状がありません。また、少し大きくなっても、卵巣は骨盤内にあるため気が付きにくく、また症状があったとしても、一般的な腹部の症状であり、卵巣がんに特有の症状ではありません。
卵巣がんが初期で発見されるのは、婦人科検診の場合があります。卵巣がんの約25%は、子宮がん検診の子宮内膜細胞診で分かると言われています。
一般的な腹部の症状のために受けた超音波検査でも発見される場合があります。卵巣がんの好発年齢の方は特に、気になる症状があれば、婦人科を受診すると良いでしょう。

③ 卵巣がんの主な症状

・卵巣がんが大きくなって周囲の臓器を圧迫するようになると、腹部膨満感、胃腸障害のほか、さまざまな症状に気が付くようになります。
大きくなった腫瘍で、膀胱や直腸を圧迫して、尿が近くなったり、便秘がちになったりします。
血管を圧迫すると血流が妨げられ、足が浮腫みやすくなります。このころになると、腹壁を通して、大きくなった腫瘍に触れることもあります。

・リンパ節に拡がったり、他の臓器に転移するようになると、卵巣から離れた場所に症状が現れるようになります。
腹水がたまるようになると腹囲が大きくなり、衣服のウエストがきついことで気が付きます。腹水の量が増えて胸水もたまるようになると、呼吸が苦しくなります。特に悪性の卵巣がんで多く見られます。

・遠隔転移
他の臓器に転移すると、転移した臓器に症状が現れるようになります。

・突然の激痛
卵巣がんの付け根の部分がねじれたり、卵巣腫瘍が破裂することがあり、突然の激痛に襲われます。

④ 卵巣がんの種類

卵巣がんの特徴は、発生する細胞による分類、良性・悪性・境界型による分類、組織型による分類などによって異なり、治療の効果や回復の見込み(予後)を予測する上で、重要です。
・発生する細胞による分類

④ 卵巣がんの種類

卵巣がんの特徴は、発生する細胞による分類、良性・悪性・境界型による分類、組織型による分類などによって異なり、治療の効果や回復の見込み(予後)を予測する上で、重要です。
・発生する細胞による分類

発生する細胞 卵巣がんの分類
表層上皮細胞・間質細胞 表層上皮性腫瘍・間質性腫瘍
性策間質細胞 精索間質細胞腫瘍
胚細胞 胚細胞腫瘍
その他

・組織型による分類
卵巣がんの中で最も多い表層上皮細胞がんは、組織型で主に4つに分類されます。
組織型の情報は治療方法の選択に対しとても重要です。例えば、抗がん剤が良く効くタイプの場合には、術後の化学療法に期待できるため、大きく切除しなくても良いと判断されます。

表層上皮細胞・間質細胞 組織型 発生頻度* 抗がん剤の効き方
漿液性(嚢胞)腺癌 36% 特に効果が高い
類内膜腺癌 17% 効果が高い
粘液性(嚢胞)腺癌

明細胞腺癌

11%

24%

効きにくい

その他の組織型:腺癌線維腫、腺肉腫、中胚葉性混合腫瘍、悪性プレンナ-腫瘍、移行上皮がん、未分化がん
*日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告.2012 年度患者年報より

⑤卵巣がんの検査方法の種類(検査期間・予算 )

今回は卵巣がんの検査方法を紹介します。期間なども合わせてみてください。

・内診
膣から指を挿入し、子宮や卵巣の状態を触診します。

・超音波(エコー)検査
超音波を発する機械を身体にあてて、臓器から反射する画像を観察します。膣にエコーの機会を挿入し、経腟的に子宮や卵巣を観察することもできます。腫瘍の大きさや一、周囲の臓器との関係、悪性良性などの性質の判断材料になります。
<検査期間>外来で行われます。画像を見ながら説明を聞くことができます。
<検査費用>胸腹部の超音波検査の診療報酬点数は、530点です。3割負担で1590円です。

・画像検査(CT検査、MRI検査)
CT検査では、リンパ節や他の臓器への転移を診断します。MRI検査は磁気を利用して、腫瘍の深達度(浸潤の深さ)などを確認できます。
<検査期間> 外来で行います。検査の結果は、当日または後日医師から説明があります。
<検査費用> 診療報酬は、装置や施設により異なりますが、CT撮影が1,000点前後、MRI撮影が1,600点前後ですので、3割負担で3000~5000円となります。

・細胞診・組織診(生検)
手術で採取した組織を染色し、顕微鏡で観察します。がん細胞の良性・悪性などの性質や組織型を判定するため、治療の選択や予後予測に重要な検査です。
細胞診は、腹水や胸水がある場合に、がん細胞の有無を調べます。
<検査期間> 外来でサンプルを採取して、顕微鏡による検査が行われます。組織検査には染色が行われ、結果が出るまでの日数は施設によって異なりますが、10日前後かかります。
<検査費用> 各診療報酬点数は、皮膚を切開して組織のサンプルを採取する場合は500点ですが、手技によって異なる場合があります。

・血液検査
腫瘍マーカーを調べます。卵巣がんの場合、腫瘍マーカーのCA125が上昇します。あくまでも指標であり、治療の前後や再発の発見などに有用です。
<検査期間>採血の結果は、各施設によって異なります。
<検査費用>血液検査の費用は、検査項目の数によって異なります。CA125単独の診療報酬点数は152点であり、3割負担で500円程です。

⑥卵巣がんの検診

現在、国が定めた指針としての卵巣がん検診はありません。また、卵巣がん検診に使用できる検査方法も確立されていません。人間ドックなどでは、レディースドックとして、内診・経腟超音波検査、子宮細胞診検査、MRI検査などが行われているようです。

⑦ 卵巣がんの病期(ステージ)分類

卵巣がんの病期(ステージ)分類は、まず、術前の画像検査などで、卵巣に腫瘍があり卵巣がんとしての進行期が予測されます。その後、手術後に肉眼や、組織学的な評価が行われ、手術進行期が決定されます。世界婦人科連合(FIGO)と日本産婦人科学会2014による「卵巣がんの手術進行期分類」が用いられ、Ⅰ期からⅣ期に分類されます。

卵巣がんの手術進行期分類(日産婦2014、FIGO2014) から抜粋

I期:卵巣あるいは卵管内限局発育
IA期 片側の卵巣・卵管に限局。被膜表面への浸潤(しんじゅん)がない。

腹水または洗浄液※2の細胞診にて悪性細胞がない。

IB期 両側の卵巣・卵管に限局。被膜表面への浸潤が認められない。

腹水または洗浄液の細胞診にて悪性細胞の認められないもの。

IC期 片側または両側の卵巣・卵管に限局。
II期:一側または両側の卵巣・卵管に存在。骨盤内の進展あり。あるいは原発性腹膜がん
III期:一側または両側の卵巣・卵管に存在。あるいは原発性腹膜がん。

骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは 後腹膜リンパ節転移を認める

IV期:腹膜播種を除く遠隔転移

⑧ 卵巣がんのステージ別5年生存率

手術進行期分類で決定されたステージと、組織型による抗がん剤の効き目などを鑑みて、治療を決定します。全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2017年9月集計)による卵巣がんの病期別5年相対生存率を紹介します。

病期 症例数(件) 5年相対生存率(%)
I 629 87.4
II 144 66.4
III 601 44.2
IV 272 28.3
全症例 1,767 61.1

参考:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん 治療
http://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html

⑨ 卵巣がんの早期発見メリット

卵巣がんは、卵巣がんに特徴的な症状がなく、自覚症状で受診する頃には進行していることが少なくありませんが、腫瘍が発見されれば、可能な限りがんを摘出することになります。手術後の組織検査などで、がんが取り切れていたか、また残存する腫瘍の大きさが小さいほど、予後がよくなります。
手術で摘出する腫瘍の大きさが大きくなり、手術の範囲が大きくなれば、術後の回復にも時間がかかり、手術に伴う合併症の可能性も高くなります。
できるだけ早期に発見することが、身体に負担をかけずに早く社会復帰できることになります。

⑩ がんリスク評価(まも~るくん)

卵巣がんは、症状が乏しく進行して見つかることの多いがんです。まもーるくんでは、血液検査や尿検査で、症状の無い頃から癌のリスクを評価することができます。超早期にがんリスクの情報が得られれば、すぐに詳しい検査に進むこともでき、早期治療に繋がります。

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