腎がん

① 腎臓がん

腎臓は、尿を作る腎実質(じんじっしつ)と、作られた尿を集める腎盂(じんう)のふたつに大きく分けられます。腎実質は、さらに外側の腎皮質と内部の腎髄質に分けられます。
腎臓にできる腫瘍のうち、悪性ものを腎がんと言います。腎がんの大部分は、腎実質にできる腎細胞がんで、その多くは尿細管の細胞の組織から発生する淡明細胞癌です。
国立がん研究センターがん対策情報センターの資料によると、2013年の腎盂がんを含めた腎臓にできるがんの患者数は、男性16,610人、女性8,255人と報告されており、年々増加しています。 腎がんの発生頻度としては、人口10万人あたり2.5人程度です。
新たに腎細胞がんと診断される方は50代から増え始め、70歳代がピークです。また男女比は約3対1で、男性に多く発症する傾向です。
腎がんの代表的な症状は、血尿、わき腹の痛み、腹部のしこりですが、早期では、特徴的な症状はなく、人間ドックや腹部の超音波検査などで、偶然発見されることが多いようです。
腎がんの基本的な治療は手術による切除です。化学療法や放射線療法の効果が小さいのですが、近年分子標的薬の開発により、進行・転移した腎癌に対しても、有効性が認められる治療法が行われるようになってきました。
転移のない早期腎がんでは、術後5年生存率は95%ですが、リンパ節や他の臓器に転移すると63~23%と、予後は非常に悪くなります。

② 腎がんの初期症状

腎がんの初期で、腫瘍が5㎝以下の場合、腫瘍は腎臓内部にあり、ほとんど無症状です

③ 腎がんの主な症状

腎がんが進行して大きくなるにつれ、さまざまな症状があらわれてきます。気になる症状があれば、医療機関を受診するようにしましょう。

・進行がんの初期
腎臓がんが、まだ転移は無く腎臓内にある場合でも、大きくなると症状が現れるようになります。約40%の方に現れる血尿、わき腹の痛み(15%)、腹部のしこり(5%)が代表的な症状です。

・局所進行がん
腎がんが進行して、腎臓の周囲の組織やリンパ節に拡がるようになると、多彩な症状があらわれます。
腎がんは、炎症に関係する物質であるサイトカインや、造血作用のあるエリスロポエチンのほか、さまざまな物質を過剰に作ることで、発熱、体重減少、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状や、赤血球増多症、高血圧、高カルシウム血症などが現れることがあります。
腎がんが腎臓に繋がる静脈に拡がると、静脈自体を圧迫したり、陰のうに繋がる静脈の血流を妨げることがあります。精索静脈瘤といい、足の付け根から陰のうにかけて痛みなどの症状や、足にむくみが現れることがあります。

・進行転移がん
腎臓がんが副腎に拡がり、腎臓を覆う膜を超えて進行したり、血行性に離れた臓器に転移すると、転移した臓器に症状が現れるようになります。腎がんは肺に転移することが多いことがわかっています。
・骨転移による骨痛、骨折
・肺転移による痰、咳など
・脳転移による頭痛、けいれん、意識障害など

④ 腎がんの種類

腎がんのがん細胞を顕微鏡で観察すると、病理組織型で分類されます。組織型によって、腎がんの進行の速さや、回復の見込みに関わる悪性度などが異なります。また、遺伝子異常との関連も明らかになりつつあります。

組織型 特徴
淡明細胞がん 75~85%。近位尿細管上皮細胞から発生。

約60%はVHL病という遺伝子病をともないます。

乳頭状腎細胞がん 10~15%。2つのタイプがあり、タイプ2は予後不良。
嫌色素性細胞がん 5~10%。境界がはっきりしている。予後は比較的良好。
集合管がん 1%未満。予後は非常に不良。
多房のう胞性腎細胞がん 多数ののう胞がみられる。腫瘍の進展、転移はなく予後良好。

参考:http://www.nexavar.jp/patient/rcc/cancer_kensa_2.html
http://www.shikoku-cc.go.jp/hospital/medical/class/urology/cancer/jin/diagnosis/

⑤腎がんの検査方法の種類(検査期間・予算 )

腎がんの主な検査は、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーです。
他のがんでは、診断のために細胞や組織を採取して生検を行いますが、腎がんでは出血のリスクが高いことや、がん細胞を散らしてしまう可能性があるため、生検は行いません。

腎がんの検査方法を紹介します。期間なども合わせてみてください。

・超音波(エコー)検査
胸や腹部に超音波の出る機械をあて、超音波の反射を映像で観察します。被ばくも無く、身体に負担が少ない検査で、腫瘍の有無をスクリーニングします。カラードプラーを用いると、腫瘍の血流や臓器の動きを観察することができます。
<検査期間> 外来で行われ、画像を見ながら説明を聞くことができます。
<検査費用> 胸腹部の超音波検査の診療報酬点数は530点です。3割負担で1590円となります。

・CT検査
身体の断面をX線を使って撮影する検査で、腎がんの確定診断に最も重要な検査です。造影剤を静脈に注入して撮影すると、腎臓や腎がんが疑われる部分の血流を観察することが出来ます。
また、腎がんは肺への転移が多いため、胸部のCT検査が必要です。
<検査期間>外来で行います。検査の結果は、後日医師から説明があります。
<検査費用>診療報酬は、装置や施設により異なりますが、CT撮影が1,000点前後ですので3割負担では3000~4000円程度です。造影剤を使用した場合は、薬剤費が追加となります。詳しくは、医療機関でお尋ねください。

・MRI検査
造影剤のアレルギーがあり、造影CT検査が受けられない方に対しても適応できます。腫瘍の特徴、静脈内の血流の状態や塞栓などを観察することができます。
<検査期間>外来で行います。検査の結果は、後日医師から説明があります。
<検査費用>診療報酬点数は、装置や施設により異なりますが、MRI撮影は1,600点前後ですので、3割負担で5000~6000円程です。造影剤を使用した場合は、薬剤費が追加となります。詳しくは医療機関でお尋ねください。

・核医学検査:骨シンチグラフィー
骨に集まりやすい性質をもった放射性医薬品を注射し2~3時間後、全身に医薬品が行き渡った頃に放出されるガンマ線を測定すると、がんの骨転移や外傷、骨折など、さまざまな骨の状態を観察することができます。
<検査期間>注射や全身に行き渡るまでの時間を除き、撮影時間は約30分程度です。
<検査費用>核医学診断料も含めて、3割負担で17000円前後になります。

⑥ 腎がんの病期(ステージ)分類

腎がんの病期(ステージ)の分類は、TNM分類が用いられます。大きさと拡がり方を示すT(T1a~T4)、リンパ節への転移の有無と転移のリンパ節の個数を示すN(N0~N2)および、腎臓から離れた臓器への転移の有無を示すM(M0、M)を組み合わせ、ステージⅠ期~ステージⅣ期の4つのステージに分類します。

・腎がんのT分類

T1 T1a 腎臓に留まっている 腎がんの直径が4㎝以下
T1b 腎がんの直径が4~7㎝
T2 T2a 腎がんの直径が7~10㎝
T2b 腎がんの直径が10㎝を超える
T3 T3a 腎がんが腎静脈または周囲の脂肪組織まで及んでいるがゲロタ筋膜を超えない
T3b 腎がんが横隔膜より下の下大静脈内に拡がっている
T3c 腎がんが高角膜を超える下大静脈に拡がる、または大静脈壁まで及んでいる
T4 腎がんがゲロタ膜を超えて拡がる、または同じ側の副腎まで及んでいる

*ゲロタ筋膜:腎臓を覆っている外側の膜

・腎がんのN分類

N0 リンパ節転移無し
N1 リンパ節1個に転移
N2 リンパ節2個以上に転移

・腎がんのM分類

M0 遠隔転移無し
M1 遠隔転移有り

・腎がんのステージ分類

N分類
N0 N!1 N2
T分類 T1
T2
T3
T4
M分類 M1

参考:国立がん研究センターがん情報サービス腎細胞がん2.病期(ステージ)表2腎細胞がんの病期分類より改変http://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/diagnosis.html

⑦ 腎がんの治療選択と生存率

腎がんの治療の選択は、腎がんのステージと患者さんの希望によって決定します。
ガイドラインに基づいた標準治療は、ステージⅠ~Ⅱでは腎部分切除~腎全摘術を行います。ステージⅢになると腎全摘術と周囲のリンパ節の切除あるいは、静脈内の腫瘍を切除します。ステーⅣで進行して転移がある場合や再発がんでは、必要に応じて手術を行い、サイトカイン療法や分子標的薬による薬物療法や放射線療法を行うことがあります。
各病期における生存率は以下の通りです。
腎がんの病気別生存率(国立がん研究センター中央病院 泌尿器・後腹膜腫瘍科)

病期 1995~2005年症例数 5年生存率 10年生存率
I期 282 100% 100%
II期 29 96% 82%
III期 103 88% 75%
IV期 49 30% 8%

参考:国立がん研究センター中https://www.ncc.go.jp/jp/about/disclosere/result_h/index.html

⑧ 腎がんの早期発見メリット

腎がんは、5年および10年生存率の通り、早期発見することで完治させることができるがんです。一方、進行して他の臓器に転移したり再発すると、分子標的による治療で効果が上がっているものの、薬物療法や放射線療法の有効性が低いがんでもあります。
早期がんであれば、手術も身体に負担の少ない腹腔鏡による切除術も広く行われるようになってきました。出血も少なく術後の回復が早いため、入院期間が短く、早く社会復帰できるメリットがあります。

⑧ がんリスク評価(まも~るくん)

 早期発見には、腎がんのリスクを知ることが重要です。まもーるくんでは、尿検査や血液による遺伝子検査などで、他の検査では発見できない段階で、がんのリスクを評価します。
がんのリスクが指摘されれば、更に詳しい検査に進むこともできます。

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