腎がん初期症状

① 腎がん

腎がんは、腎臓にできる悪性腫瘍です。そのほとんどが腎実質にできる腎細胞がんです。腎臓にできる悪性腫瘍には、腎盂がんもありますが、腎盂がんは、発生する細胞の特徴から腎盂・尿管がんとして扱われます。
2013年に全国で新たに腎がん(腎盂・尿管がんも含む)と診断された方は、男性が16,610人、女性が8,255人と推計され、10万人あたりの罹患率は男性が26.8人、女性が12.6人と、男性の方が多い傾向であり、男女とも、年々増加しています。
腎がんを患う方は50歳代から増え始め、年齢と共に増加する傾向です。
腎がんを発症するリスクファクターとして、肥満、高血圧、喫煙があげられています。その他、環境因子、遺伝病、透析療法などの要因も関係があることがわかっています。
腎がんは、早期ではほとんど無症状で、自覚症状から早期発見することは難しいがんです。しかし最近では、人間ドックや他の病気のために行った画像検査から偶然、早期の腎がんが発見されることも多くなってきました。
腎がんが進行すると、血尿、腹部の疼痛やしこりなどに気づくことが多くなり、更に進行してがんが周辺の組織に拡がると、さまざまな症状が現れるようになります。
腎がんは、そのステージに基づいた標準治療が行われますが、薬物療法や放射線療法の有効性が低いため、基本的に手術でがんの部分を切除します。早期がんでは5年生存率は100%ですが、リンパ節や他の臓器に転移すると予後は非常に悪くなります。
早期発見するために、どのような症状やリスクに気を付ければよいでしょうか。紹介していきます。

② 腎がんの初期症状

腎がんの初期で、腫瘍が5㎝以下の場合、腫瘍は腎臓内部にあり、ほとんど無症状です。

③ 腎がんの主な症状

腎がんは進行して大きくなると、周囲の組織や臓器に拡がり、さまざまな症状があらわれてきます。

・血尿、わき腹の痛み、腹部のしこり
腎がんの代表的な症状です。血尿は腎がんの方の約40%に現れると言われています。

・発熱、
腎がんの患者さんの約20%に現れる症状です。
腎がんの細胞から、炎症に関係する物質(サイトカイン)が過剰に作られることで、発症することの多い症状です。炎症反応を示すCRPが血液検査で高くなることが多いようです。

・その他の腫瘍随伴症状
腎がんの細胞から作られるさまざまな物質によって現れる症状を、腫瘍随伴症状と言います。造血作用のあるエリスロポエチンが過剰に作られると、赤血球増多症が現れます。その他、高血圧、高カルシウム血症などがあらわれ、全身倦怠感、体重減少、食欲不振などの全身症状が現れます。

・足の付け根の痛みや浮腫み
腎がんが進行して、腎臓につながる下大静脈に拡がると、静脈を圧迫して狭くしたり、精巣静脈を圧迫して、陰のう内の精巣静脈の血流が妨げられることがあります。これを精索静脈瘤といい、長く立っていると、足の付け根から陰のうにかけて、不快感や痛みが出ることがあります。

・咳、血痰などの肺の症状
腎がんは肺に転移しやすいことがわかっています。肺に症状が現れます。

その他、転移臓器における症状
腎がんが進行して、離れた臓器に転移すると、転移した臓器に症状が現れます。
骨転移による骨痛、骨折や、脳転移による頭痛、けいれん、意識障害などです。

③ 腎がんのリスクファクター

腎がんでは、発症との関係がわかっている腎がんのリスクファクターがあります。生活習慣、職業や環境因子、遺伝が挙げられています。

・生活習慣
肥満、喫煙、高血圧、飲酒などの生活習慣と、腎がん発症の関係が分かっています。

・職業や環境因子
有機溶媒(トリクロロエチレン)、カドミウム、アスベストに接する機会の多い職業についている方に、腎がんを発症する方が多いことがわかっています。

・遺伝因子
フォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau:VHL)病、バート・ホッグ・デューベ(Birt-Hogg-Dube:BHD)症候群など、染色体異常に基づく遺伝病のある方や、その家族では、腎がん発症のリスクが非常に高いことがわかっています。

・透析
長期透析患者に発生する、透析腎がんがあります。

④ 腎がんセルフチェック

腎がんを患っている可能性や、腎がん発症のリスクが高いか、セルフチェックをしてみましょう。チェックが少なくても、思い当たるところがあれば医療機関を受診するようにしましょう。

・太っている。 Yes / No
・たばこを吸っている。 Yes / No
・アルコールが好き。 Yes / No
・血圧が高い Yes / No
・有機溶媒(トリクロロエチレン)、カドミウム、アスベストに接する機会の多い職業である。 Yes / No
・VHL病である、または血縁者にVHL病の方がいる。 Yes / No
・BHD病である、または血縁者にBHD病の方がいる。 Yes / No
・50歳以上である。 Yes / No
・男性である。 Yes / No
・血尿が出た。 Yes / No
・お腹にしこりがある。 Yes / No
・お腹や背中が痛い。 Yes / No
・ずっと発熱が続いている。 Yes / No
・全身倦怠感がある。 Yes / No
・体重が減ってきた。 Yes / No
・咳や血痰がある。 Yes / No
・立っていると、足の付け根から陰のうに痛みがあったり

下肢が浮腫みやすい。

Yes / No

⑤ 腎がんの主な原因

 腎がんの直接的な原因は分かっていませんが、前述したリスクファクターがあると、無い方と比べて発症する可能性が高いことがわかっています。

・肥満
  BMIが30以上の場合、肥満による発症リスクは4倍になると言われています。また肥満があると高血圧になりやすいため、高血圧も発症リスクのひとつです。

・喫煙
  喫煙は、本数が増えるにしたがって、さらに発症リスクは高まります。

・高血圧
 高血圧があると、ない方に比べて約2倍発症リスクが高いと言われています。

・発症リスクの高い物質との接触
 中皮腫との関連が明らかであるアスベスト、カドミウム、石油系の有機溶媒のトリクロロエチレンを扱う職業の方に、腎がんの方が多いことが分かっています 。

・遺伝病
 腎細胞がんを発症しやすい家系があると言われています。
中枢神経系血管芽腫を発症するVHL(フォン・ヒッペル・リンドウ:von Hippel-Lindau)病の家系では、40%に腎がんを発症すると言われています。
 自然気胸や顔面の皮膚がんを発症するBHD(バート・ホッグ・デューベ:Birt-Hogg-Dube)症候群の家系にも、腎がんが多いと言われています。

・透析
 透析を長期間受けていると、30~50%の方で、後天性のう胞腎を発症することがあります。後天性のう胞腎の方は、そうでない方の30倍腎がんの発症率が上がると言われています。
 透析患者さんでは、腹部超音波検査やCT検査によって、定期的にスクリーニングをする必要があります。スクリーニングによって発見される腎がんは小さく、早期治療によって予後が良いことがわかっています。

⑥ 腎がんの鑑別診断が必要な病気

  腹部超音波検査やCT検査などの画像検査が進歩し、検診や人間ドックで、腎臓に腫瘍が見つかることが多くなっています。その場合、腎がんと区別する鑑別診断が重要です。

 ・腎血管筋脂肪腫
   腎臓にできる良性腫瘍です。脂肪組織、筋肉、壁の厚い血管でできており、腫瘍が大きくなると、腎がんと共通するわき腹の痛みや血尿が出ることがあります。50歳以上の女性に多く見られますが、結節性硬化症を伴う場合は、30歳代の女性の両方の腎臓に多発することが多いようです。CT検査や超音波検査で、腫瘍の中に脂肪成分が観察できます。
 腫瘍が小さく、症状が無ければ経過観察しますが、大きくなると血管腫の部分が破れて出血することもあるため切除します。

・オンコサイトーマ
  腎臓にできる良性腫瘍です。細胞が異常に大きくなったもので、腎臓にできたオンコサイトーマは、血流が豊富で被膜があり、画像検査で腎がんと非常に鑑別しにくいと言われています。

⑦ 腎がんの予防策は?

 腎がんを直接的に予防する方法はありません。しかし、腎がん発症のリスクファクターは明らかになっていますので、まず、思い当たるリスクファクターがあれば、改善するようにしましょう。
 喫煙している方は、他のがんや病気の原因となることが明らかになっているので、禁煙をはじめましょう。
 BMIが30を超えるような肥満の方は、食事や運動といった生活習慣を見直し、減量をスタートしましょう。また肥満があると、高血圧の方も少なくありません。血圧の管理が非常に重要ですので、医療機関で相談しましょう。
 肥満の方は、糖尿病や高血圧を含む生活習慣病が心配です。糖尿病に合併する糖尿病腎症は、透析の原因の第一位です。長期間の透析は、腎がんの原因となることも明らかになっています。
 腎がんの予防には、生活習慣を見直し、リスクファクターのある方は、検診を欠かさず定期的な検査をすることが重要です。
 

⑧ まも〜るくんの紹介

 早期発見には、腎がんのリスクを知ることが重要です。まもーるくんでは、尿検査や血液による遺伝子検査などで、他の検査では発見できない段階で、がんのリスクを評価します。
がんのリスクが指摘されれば、更に詳しい検査に進むこともできます。

Follow me!